IT記者会講演再録

IT記者会Reportに掲載したインタビューと講演再録です

谷上俊二氏/(株)TDCソフトウェアエンジニアリング代表取締役【上】

 TDCソフトウェアエンジニアリングは、故・野﨑克己氏が1963年の12月、東京・神谷町に創業したソフト業界の“老舗”。今年6月、社長に就任した谷上氏は同社新卒採用一期生の純プロパーだ。就任後初の記者懇談会で「中堅ユーザーの“かかりつけ医”」戦略を打ち出した。東証1部上場企業として軽々な発言を控えたため、やや具体性に欠けた。もうちょっと本音を聞かせてくださいな。

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――記者懇談会を開いたのは今回が初めてですよね?

谷上 当社にとって初めての試み。勝手が分からないので戸惑いつつ、というのが正直なところです。これまで当社は情報を発信することにあまり積極的ではなかった。ソフトウェアの受託開発が中心で、こちらから情報を出さなくても仕事がある。でもこれからは自分たちの特徴を出した事業をやっていかなければならない。そのためにも、業界に精通している記者の皆さんと意見交換して、あるいは情報をいただいていきたいと考えたんですね。  

――以前は各社がこういう会合を開いてくれて、それが我われ記者たちにとって相互交流の場でもあったんですね。それがどんどんなくなっている中で、御社が記者懇を企画していただいたのは、記者を育てるという意味でありがたいと思いました。ところで、社長という立場で、現在の景況をどうみてます?

これまでのようには行かない

谷上 今年の6月、株主総会で社長ということになったわけですが、昨年の秋口から状況が一変しまして、新規案件は凍結、仕掛案件も中止という状況の中でのスタートとなりました。実は今年度が中期経営計画の最終年度なんですが、緊急避難的にとりあえず棚上げにしました。来年度以後はどうしようか、と新3か年計画を練っているところです。そういう景気の中ですから、3年後、5年後にこの業界がどうなっているかを見据えておかないといけない。これまでの延長で事業を拡大していくのはなかなか難しいだろう。そういう認識でいます。  

――受託開発の取引先は富士通とNTT系が大口ですよね。

谷上 創業当時は漢字入力でスタートして、富士通の大型計算機を入れたのがきっかけで富士通さんとの取引が始まった。一時期は富士通さんからのお仕事が売上げの約7割になって、これじゃイカンだろうということで、当時の電電公社から資材調達総合管理システムの開発を受託したんですね。それが今のNTTデータさんとの取引につながっている。そういう流れです。  

――「MRDB」というベストセラー・パッケージがあるじゃないですか。

谷上 おかげさまで10万件以上のユーザーがいます。地方自治体とか地方の中堅企業とかに長く使っていただいているんですが、でもこれだけでやっていけるかというと、そうもいかない。受託開発が8割、自社パッケージや「People Soft」をベースとするERPコンサルティング事業、SaaS型サービス、その他が2割で売上高が約160億円、営業利益が7億5000万円ではどうもね、という思いがある。  

――創業46年というのは、古さからいうとソフト業界で10本の指に入る。御社よりあとにできた会社が規模の拡大を図って、“3000億円クラブ”なんていう言い方もされている。じゃ、御社も今からM&Aで規模の拡大を目指すのか、ということですが。

面白く変革する

谷上 わたしは規模の拡大がすべてとは考えてない。“3000億円クラブ”を目指していくつか経営統合があったけれど、同質の企業が一緒になって体質が強化されるかどうかは別問題じゃないですか。こういう急激な景気変動があると、規模が大きいことの弱点が出てきてしまう。結局は「強みをどう生かすか」じゃないかな。  

――強みというと?

谷上 規模があまり大きくないこと。規模が大きな会社にはできない木目の細かなサービスができる。当社ぐらいの規模だと面白く変革できる。この「面白く」が重要なんですよ。  

――仕事はあっても、社員の皆さんが面白がって取り組まないと会社は伸びていかない。

谷上 そういうことです。創造力が発揮できて、報われる職場を作らないといけない。それとユーザーから、TDCに頼んでよかった、いい仕事をしてもらった、と言われるようじゃないといけない。ただね、そうはいっても当社の存続が大前提だから、この景況をチャンスととらえて、多少の安値でもどんどん案件を取っちゃおうか、とも考えている。  

――安値受注は危険じゃないかな。景気が回復したとき、値上げができなくなる。 谷上 もちろん、そんな無茶苦茶な安値では受注しない。でも稼働率を上げて、間口を広げるチャンスではある。  

――ここでいうユーザーっていうのは、従来の大口受注先でのこと? それとも新たにユーザー直のプライム受注を目指すということなんだろうか。

谷上 後者ですね。当社の規模に合ったユーザーとプライム契約を結んで、システム開発だけじゃなくて、システムコンサルティングから日常のIT利活用をサポートするようなこと。  

――規模に合ったユーザーというと、売上高1,000億円前後から下の中堅企業と理解していいですか?

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谷上俊二(たにがみ しゅんじ)氏の略歴
生年月日:1953年6月7日
出身地:北海道
卒業大学:山形大学

1976年4月 TDCソフトウェアエンジニアリング 入社
1992年4月 TDCソフトウェアエンジニアリングシステム 技術部長
1998年10月 TDCソフトウェアエンジニアリング 総務部長
2001年4月 TDCソフトウェアエンジニアリング 理事経営企画室長
2003年6月 TDCソフトウェアエンジニアリング 取締役システム本部長
2007年6月 TDCソフトウェアエンジニアリング 取締役執行役員営業本部長兼技術開発本部長
2008年4月 TDCソフトウェアエンジニアリング ソリューション営業本部長兼ソリューションサービス本部長
2008年6月 TDCソフトウェアエンジニアリング 取締役常務執行役員
2009年1月 TDCソフトウェアエンジニアリング 専務取締役
2009年6月 TDCソフトウェアエンジニアリング 代表取締役社長(現任)

 

 

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