IT記者会講演再録

IT記者会Reportに掲載したインタビューと講演再録です

「デジタルレイバー/デジタル・トランスフォーメーション」という考え方(1) 田中淳一氏(KPMGコンサルティング執行役員パートナー)

6月5日に行われた「RPA+働き方改革コンソーシアム」発足説明会。鶴保征城幹事長(HAL東京校長)の挨拶、山田裕美事務局長(アドバンスト・ビジネス創造協会専務理事)による主旨説明のあと、約40人の参加者が耳を傾けたのは、同コンソーシアム副幹事長に選任された田中淳一氏(KPMGコンサルティング執行役員パートナー)の基調講演だった。専門領域は「デジタルレイバー&トランスフォーメーション」とあるだけに、中身の濃い話を聞くことができた。

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田中淳一氏

田中 今日お集まりの方には「いまさら」なのだろうと思いますが、確認の意味でRPAについて、ちょっとお話しさせていただきます。毎日、AIやIoT、ビッグデータなんかを上手に使って、働き方を改革していきましょう、っていう話が新聞や雑誌、テレビで話題になっています。

 わたしたち(KPMGコンサルティング:以下同様)はITを活用して働くという意味で、「デジタルレイバー」という言葉を使っています。デジタルレイバーの働き方という話なのですが、RPAを使って教育をして、今まで派遣で時給が1,500円だったのを2,000円にするというようなサービスだったり、RPAを操作できる人の採用を始めたり、RPAに積極的な取り組みが始まっています。

RPA市場は年率47%増で急拡大

 で、いろんな調査があるんですが、RPAの市場は2020年に向かって5,500億円ぐらいになるとか、年率47%ぐらいで伸びていくとか言われています。基本的な方向としてはものすごい勢いで上がっていきます。この5,500億円ってどのくらいなのかというと、ERPが2.5兆円、その5分の1ぐらいです。

 ERP市場を牽引するSAP社のソフト製品って、億円単位です。それに対してRPAって数百万、数千万のものなので、その金額からすると7割ぐらいの企業には入っていくと考えられます。

 ワークフローと文字認識そういうものを組み合わせて、PC上で動いている複数のソフト、それにまたがっている作業を自動化していきましょう。ワークフローですとかスクリーン・スクレイピング(Screen Scraping)、画面上の文字を認識する技術、OCRですとかAI、画像認識といった技術を組み合わせていきますと、単純なRPA以上の作業が対象になると考えられています。

 いくつかの特徴があって、現在の業務プロセスを変えなくてもいい。変えた方がいいんですが、日本の企業って現場でいろいろな作業が手順化されている。現場ごとの標準化がなされているので、改めて新しい標準というのは抵抗がある。取引先との関係でやむを得ないとか、そういう作業をそのままでもRPAを適用できます。重ねて強調しておきますが、業務プロセスを見直して標準化したほうが効果は断然大きい。

 もうちょっというと、PC上の作業で、ルール化できてワークフローが書けるものはすべてRPAの対象になります。経理であっても人事・給与であっても顧客管理でも、なんでも。メインフレームでもクラウドでもメールでも。うまく使っていくと、請求書や納品書のような伝票でも、入力業務を自動化できます。

効率化とコスト削減より業務の高度化

 ここで情報システムと人との関わりを見ますと、システムは画面を通じてデータを表示し、人は画面を通じてデータを取ってきて、加工して戻すとか別のシステムに移します。そんなことが普通に行われている。システム−画面−人という関係が整理できれば、作業をシステム化することはそんなに難しいことではありません。

 そのときどうするかというと、画面のレイヤではなくて、データベースから必要なデータを引き抜いてきて、それを加工して処理をする。アプリケーションごとにインターフェースを作っていくんですね。そのときデータの整合性ですとかを見ていく必要があって、例えばメインフレームの勘定系システムだったりすると、そのメインフレームのプログラムを作れるSEを連れてきて、あれやこれややるとコストも時間がかかって、帳票を一つ作るだけなのに数千万円かかるというようなことになってしまう。

 これに対してRPAがいいところは、プログラミング・スキルが不要……、実際はパラメータを設定できる程度のプログラミング・スキルが要りますが、プロのSEが貼りつく必要はありません。RPAは「導入の工数がほとんど0で、作業ミスがなくなりコスト削減につながる」と喧伝されます。しかし業務の効率化、コスト削減を強調し過ぎるのは、ミスリードになるかもしれません。

 むしろ業務品質の向上に目を向けるべきだと思います。RPAといいますかインテリジェントオートメーションを導入している企業にその効果を聞きますと、コスト削減、人員削減を挙げているのは16%に過ぎません。請求書処理ですとかバックオフィスの作業を10人でやってます、みたいな話であれば、大勢の人が同じな作業をしている大量生産の世界なので、効率化のRPAが向いている。

 

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