IT記者会講演再録

IT記者会Reportに掲載したインタビューと講演再録です

「COG2018に向けて」冒頭2氏のショートコメントを文字起こししてみた

6月17日(日)の「COG2018に向けて」でのショートスピーチを再録する。ショートスピーチは審査委員長・城山英明氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、LINE執行役員公共政策・CSR担当・江口清貴氏だった。審査員4人によるダイアログ(パネルトーク)は、当日の受賞チームのプレゼンテーションを踏まえてのものなので、ダイアログだけ取り出して文字起こしすると読者には「?」になってしまう。残念ながら、見送ることにした。

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城山氏:データを元に小さく始めて広げていく

司会 それでは、これより「チャレンジ!!オープンガバナンス2018に向けて」を開催させていただきます。最初にチャレンジ!!オープンガバナンス審査委員長から開会の挨拶をいただきます。 

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城山英明氏

城山 皆さん、こんにちわ。本日はお休みの日ですが、COG2017の受賞チームのお話から学ぶという機会に参加していただいて、ありがとうございました。

 このチャレンジ!!オープンガバナンスを始めたのはほぼ2年前、2016年に最初の、「市民も変わる、行政も変わる、永遠のベータ版」ということで始めました。

 オープンガバナンスあるいはオープンガバメントというのはいろいろな形で議論されていますけれども、もちろん一つはデータ、情報技術を使ってですね、新しい社会課題の解決に寄与していくという、それは一つの重要なことでありますが、同時ににこのCOGにおいては、いろんなアクターがどうやって連携して社会課題に取り組んでいくのかという、もう一つの側面も重視してきたところです。

 で、アクターというのは、中心の一つはどういうユーザーを想定して新しい政策をデザインしていくかということですけれども、すべてのサービスを行政が提供するというわけには行かないご時世でありますので、関心を持っているいろんなステークホルダーをどのように連携してやっていくのか、それを重要なテーマとしているわけであります。そういう意味で、コンテストに提案していただくときには、市民もしくは学生の方を中心としたグループが行政と連携して応募していただくということを重視しているわけです。

 それから、去年、2017のときに若干強調したことですが、データの分析において、定量的なデータで客観的に課題を設定することも必要なのですが、意外と重要なテーマというのはですね、定量的に把握できるものだけではなく、例えばインタビューであったり定性的な認識の中に隠れていることがあります。定量的なデータと定性的な認識を組み合わせていく、ということを去年のキックオフで話させていただきました。

 こういう新しい実験をしていくときには、一度にすべてをうまくやるのは不可能なわけで、小さいところで実験をしながら広めていく。どうやって広めていくのか、地域の中で広めていくということもあるでしょうし、地域を越えていろんな動きと連携して相互に刺激し合いながら次のステップにつなげていく。そういうことがすごく重要なんだろうと思います。そういう意味で、本日のようなCOGにかかわって来られた皆さんが情報を共有する場が、活動を広めていくステップになると思います。

 ということで、本日は午後の半日……、数時間という限られた時間ではありますけれど、いろんな形で有意義な意見交換ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)

江口氏:誰のために+サービスの形をイメージして

司会 続きまして、今回からCSRパートナーとしてチャレンジ!!オープンガバナンスをサポートをいただきますLINE株式会社、公共政策室長の江口さまから、歓迎の挨拶をいただきます。

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江口清貴氏

江口 改めまして、LINE株式会社の公共政策を担当してます江口と申します。よろしくお願いします。 実は奥村先生(COG運営コーディネーター:奥村裕一氏)からしゃべってくれと頼まれたものがあるんですけど(メモを見ながら)……、

 「オープンガバナンスという市民と行政の連携アプローチによる新しい市民社会の形成に共鳴してCSRを担当します」

 ということなんですけど、実はあまり共鳴はしてなくてですね(笑)、あの~、単純に去年、シンポジウムに参加したとき、奥村先生に「いや~、これじゃぁちょっと(資金が)足んなくないスか」みたいな話をしていたら、「じゃ、お前が出せ」ということで、「ああそうですか」と(笑)。ちょっと奥村先生に言われますと(頭を掻きながら)断り切れない事情がありまして、こういうことになってしまったんですけど(笑)。

 ちなみに、LINE使ってる人、どれくらいいますかね。

 (来場者の7割ほどが挙手)

 はい、ありがとうございます。

 若い人も、ちょっと古い人も(笑)、男性・女性を問わず利用しているプラットフォームって、有史以来、ないんですね。共通のプロトコルでやりとりしているプラットフォ-ムって、あまりないんです。いまLINEは7300万ユーザー、マンスリー・ユーザー、毎月の利用者数ですね、こういう変化が起きているのが現状です。

 そのような中で、「LINE使ってる人」と言ったとき手が上がらないのは行政と教育です。 だからというわけではないんですけど、行政と民間の皆さんの感覚には、ズレがあると思っています。なので、こういう取り組みがすごく重要なんです。行政にも新しい風を、ということです。投票だけじゃなく、こういう参加の方法もあるんだと。

 われわれLINEというサービス、ホームページでググってもらえると出てくると思いますが、行政にかなりの支援をしています。それは行政が抱えている問題を、LINEを使って解決するヒントを作ろうということで、渋谷区とか福岡市と協定を結ばせていただいて、まさしくこのCOGがテーマとしていることを勝手にやっていたわけです。

 去年もお話させていただいたんですが、参加する方にやっていただきたいのは、「これって誰に向けてやっているんだっけ?」という市民の目線を必ず持ってほしいんですね。それと使えるものにしてほしい。アイデアだけではだめで、これは「言いっ放し」と同じです。アイデアだけで形にするところまで、なかなか難しとは思いますが、形にできるもの、形がイメージできるものを作ってもらいたいと思います。必要であれば、LINEのリソースを提供することも可能です。

 《若い人たち×行政》ですと、思いもしない画期的なアイデアが出る。それに期待したいと思います。当社も賞(LINE学生賞)を出すんですけれど、賞に限らず「これは」っていうものがあったら、最終的には一本釣りしてでも、一気に形を作ってしまおうと考えていますんで、ぜひ皆さん、頑張ってください。こんな感じですけど、よろしいですかね。

司会 ありがとうございました。(拍手)