IT記者会講演再録

IT記者会Reportに掲載したインタビューと講演再録です

【アーカイブス】IT取引環境を巡る現状と動向の把握〜大手企業の取り組みを探る〜(2009年6月)⑥最終回

自治体の話を続けます。 徳島県は今年から長崎県のモデルを導入して、まず要求仕様書を自分たちで作ることから始めています。福岡県庁はオープンソースの先行事例です。それから自分たちで作ったアプリケーションを他の県に公開しています。 地方自治体も活…

【アーカイブス】IT取引環境を巡る現状と動向の把握〜大手企業の取り組みを探る〜(2009年6月)⑤

以下は今回のヒアリングで得た事例です。社名は伏せます。 図4 A社(日配食費メーカー)のIT調達体制 図4はA社(日配食品メーカー)の事例です。魚肉をつかった揚げ物や蒲鉾などを作っています。こう言えばどこのことかすぐ分かるかもしれません。「小…

【アーカイブス】IT取引環境を巡る現状と動向の把握〜大手企業の取り組みを探る〜(2009年6月)④

ユーザーがASPサービス F社(建設会社)は、工事現場の協力会社にASPサービスを提供しています。工事現場はたくさんあって、そのときそのときで変化します。そのたびに出向いたのではプロジェクト管理がままならない。無線ブロードバンドが実用化され…

【アーカイブス】IT取引環境を巡る現状と動向の把握〜大手企業の取り組みを探る〜(2009年6月)③

さて今回、ヒアリングしたほとんどの企業は売上高が兆の単位の企業です。無作為的に取材をお願いしましたが、もちろん断られた会社もあります。 ヒアリングを受けてくれた企業は、それなりに自信があるからです。ではお断りになった会社がみんな自信がないか…

【アーカイブス】IT取引環境を巡る現状と動向の把握〜大手企業の取り組みを探る〜(2009年6月)②

外注費比率10%増で営業利益3%減 図2のグラフ、元になっているのはIT記者会独自の「情報産業業績調査」のデータです。アンケートの回答と決算発表資料、有価証券報告書などからシステム開発を主業務とする情報サービス会社のピックアップしています。…

【アーカイブス】IT取引環境を巡る現状と動向の把握〜大手企業の取り組みを探る〜(2009年6月)①

外付けハードディスクを整理していたら、2009年6月、情報サービス産業協会(JISA)の経営改革委員会で行った講演の録音データが出てきました。きっかけはこの6月、公正取引委員会が「ソフトウェア業の下請取引等 に関する実態調査報告書」を公表し…

2022壬寅年 明けましておめでとうございます

2021年、IT記者会Webサイトへのアクセス総数は約8万5千件でした。 若手に譲るつもりで記事を控えていたため、過去記事が中心となりました。それでも多くの方にお読みいただき感謝いたします。 本年も飽きず見捨てず呆れずの「3ず」でお付き合いください…

【アーカイブス】ポストCOVID-19インタビュー:ソフト業の多重構造をどうしますか?(3)

堂々と主張したらいいのに ――だったら正々堂々と、120万円を請求したらいいじゃないですか。本来だったら120万円もらう仕事なんだけど、60万円でやってるんだ、なんてのは自己欺瞞ですよ。実際に現場で汗を流している技術者のことを考えたら、経営者…

【アーカイブス】ポストCOVID-19インタビュー:ソフト業の多重構造をどうしますか?(2)

スキルギャップはなぜ起こるか ――いま話に出たスキルギャップね。これもスキル表一枚ですよね。面接はするかもしれないけど、使ってみなけりゃ分からない。そういうトラブルは少なくないでしょ? F 多いよね。最近は代金のトラブルよりそっちの方が多いんじ…

【アーカイブス】ポストCOVID-19インタビュー:ソフト業の多重構造をどうしますか?

ソフトウェア業界の多重取引き(いわゆる多重下請け構造)の弊害が指摘されて久しい。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う経済活動の停滞で、マンパワー型の受託ソフトウェア開発業への影響が予想される。10年前のインタビュー記事なので現…

【アーカイブス】開発中心パラダイムに未来はあるか SERC代表・増井和也氏 

増井和也氏(同氏のfacebookから) ソフトウェア・シンポジウム2016in米子のセッションでユニークだったのは増井和也氏(ソフトウェア・メインテナンス研究会代表幹事、http://serc-j.jp/serc/)によるFuture Presentation「ソフトウェアの少子高齢化が急加…

JISTAパネルディスカッション「ポスト2020問題とITストラテジストのあり方」(後編)

年が明けて1月26日、東京・春日の文京区民センターで開かれた日本ITストラテジスト協会(JISTA)関東支部の1月例会で、昨年11月16日の「続き」をすることになった。モデレータは前回と変わらず富田良治氏、パネラーは赤沼直子、満川一彦、諸…

JISTAパネルディスカッション「ポスト2020問題とITストラテジストのあり方」(前編)

JISTAは日本ITストラテジスト協会(Japan IT Strategist Association)のこと。情報処理推進機構(IPA)情報処理試験センターが運営する情報処理技術者資格制度の一つ「ITストラテジスト」資格保有者を中心に、情報交換を通じて知見を高め、相互…

組込みDX推進セミナー 河村健夫氏(組込みIoTイノベーション議員連盟会長)開会挨拶

8月26日午後3時から6時まで、東京・永田町の衆議院第二議員会館で「組込みDX推進フォーラム」が開かれた。主催は経済産業省(情報産業課)、組込みシステム技術協会(JASA)、組込みイノベーション協議会(EI協議会)が共催、組込みIoTイノベーション議…

中谷多哉子氏(放送大学情報コース教授)が語る「もう一つのDX」とはー下ー

中谷 話は変わりますが、デジタルネイティブの話をします。物心ついたときはインターネットが当たり前だった世代が新しいビジネスを考え出す、クリエートしていく。思いついて実行するには、ITシステムの技術的負債を解消して、新たなデジタル技術を導入し…

中谷多哉子氏(放送大学情報コース教授)が語る「もう一つのDX」とはー上ー

5月24日、東京・亀戸の江東区亀戸文化センターで「SERCフォーラム〜DXがもたらすソフトウェアエンジニアへのインパクト〜』(主催:ソフトウェア・メインテナンス研究会、増井和也代表幹事)が開かれた。その冒頭、基調講演として演台に立った放送…

AI/ビッグデータ時代の無形資源「数理資本」について話そう 経産省・情報技術利用促進課課長 中野剛志氏(下)

中野剛志氏 理数系人材の産業界での活躍に向けた意見交換会についてはこのURLを参照してください https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/risukei_jinzai/index.html 極端な話、紙と鉛筆があればいい もう一つ分かったことは、数学をやるにはスーパーカミ…

AI/ビッグデータ時代の無形資源「数理資本」について話そう 経産省・情報技術利用促進課課長 中野剛志氏(上)

経済産業省と文部科学省が共同で「理数系人材の産業界での活躍に向けた意見交換会」を設置したのは昨年8月。今年3月12日の第5回で終了し、報告書『数理資本主義の時代~数学パワーが世界を変える~』が公開された。意見交換会を設置した裏事情、数理資本…

会計検査院のIT検査について 土肥亮一・業績検査計画官の話を聞く

会計検査院が公共機関のIT費用について検査体制を強化している、と聞いて取材を申し入れた。筆者の特ダネにすることもできるけれど、IT記者会に加盟する記者諸氏と情報を共有すれば世の中に周知する効果は何倍にも拡大する。ということで、IT記者会の2月例会…

柴山昌彦文科相 「未来の学びプログラミング教育推進月間」にあたって

文部科学省のホールで「未来の学びプログラミング教育推進月間」の会見が行われたのは2月18日。開会を知らせる司会者の声と同時に、推進月間に協力する企業(Apple Japan、グーグル、トヨタ自動車、本田技研工業の4社は欠席)の代表者が入場し、記者席と向…

ユーザー中心のサービスデザインとは Govtech Conference Japan 2019 パネルディスカッション

Govtech Conference Japan 2019 のオープニング すでに旧聞に属する1月16日、東京・永田町で経済産業省が主催する〈Govtech Conference Japan 2019〉が開かれた。その要点は折を見てまとめるとして、本稿ではパネルディスカッションの1stセッション「ユーザ…

サマータイムの基礎知識 国際大学GLOCOM客員研究員・楠正憲氏

情報法制研究所が9月2日に開いた「サマータイム導入におけるITインフラへの影響に関するシンポジウム」の基調講演、2番手で登壇した国際大学GLOCOM客員研究員・楠正憲氏の「サマータイムの基礎知識」を再録する。1948年から52年まで実施された「日本の…

サマータイムに関する現状の認識整理 立命館大学情報理工学部教授・上原啓太郎氏

猛暑・酷暑がひと段落した9月2日(日曜日)、一般財団法人情報法制研究所(鈴木正朝理事長、略称=JILIS)主催で「サマータイム導入におけるITインフラへの影響に関するシンポジウム」が開かれた。鈴木理事長によると、にわか仕立てのシンポジウムにもか…

この国にイノベーションを起こすのは就労者が減ることかも IIJ代表取締役会長・鈴木幸一氏

記者懇親会は代表取締役社長・勝栄二郎氏の挨拶で始まった 埼玉県熊谷市で過去最高となる41.1度を記録した酷暑の日、東京・丸の内でインターネットイニシアティブ(勝栄二郎社長、略称:IIJ、東証1部上場、2018年3月期売上高は176,051百万円)の記…

「COG2018に向けて」冒頭2氏のショートコメントを文字起こししてみた

6月17日(日)の「COG2018に向けて」でのショートスピーチを再録する。ショートスピーチは審査委員長・城山英明氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、LINE執行役員公共政策・CSR担当・江口清貴氏だった。審査員4人によるダイアログ(パネルトーク)は…

「デジタルレイバー/デジタル・トランスフォーメーション」という考え方(2) 田中淳一氏(KPMGコンサルティング執行役員パートナー)

ところが多品種少量、企画とか営業とか、そういうところは高度化の領域で、本当はもっといろんなことをしたいのだけれど、時間がないので省略している。財務部門でも会計情報を分析して事業部門にアドバイスをしたいのだけれど、ついつい後回しにしている。…

「デジタルレイバー/デジタル・トランスフォーメーション」という考え方(1) 田中淳一氏(KPMGコンサルティング執行役員パートナー)

6月5日に行われた「RPA+働き方改革コンソーシアム」発足説明会。鶴保征城幹事長(HAL東京校長)の挨拶、山田裕美事務局長(アドバンスト・ビジネス創造協会専務理事)による主旨説明のあと、約40人の参加者が耳を傾けたのは、同コンソーシアム副幹事長に選…

発足した「RPA+働き方改革コンソーシアム」は何をねらうのか 幹事長に選任された鶴保征城氏「部分最適ではまた痛い目に」

6月5日午後4時40分から、東京・永田町で「RPA+働き方改革コンソーシアム」の発足説明会が行われた。同コンソーシアムについては⬇️を参照されたい。 www.itkisyakai.com 冒頭に行われた幹事長・鶴保征城氏の挨拶を再録する。 幹事長に専任された鶴保征城氏 …

AI・IoT時代のデータ標準化について平本健二氏(内閣官房政府CIO上席補佐官)の話を聞く(2)

データ構造の標準化の話をすると、「既存のモデルが使えない」ですとか「開発の柔軟性が失われる」といった異論がありますけれど、そんなことを言っていたのではアジャイルの時代に対応できない。システム開発の生産性を高めて品質を向上するのであれば、IT…

AI・IoT時代のデータ標準化について平本健二氏(内閣官房政府CIO上席補佐官)の話を聞く(1)

平本健二氏の肩書きは「内閣官房政府CIO上席補佐官/経済産業省CIO補佐官」と、それだけ聞くと何となく近寄りがたい。実はけっこう面白い人なのだが、それはそれ。古くは2009年の経産省アイディアボックス、最近では国内で使われている約6万種の漢字をコード…